【大学院 外部受験の基本のキ!】院試までの流れ~研究室訪問のマナーや注意点~
皆さん、こんばんは。工学系大学院卒の現役エンジニアのふるちんです。
会社で働いていると、上司世代に比べて、僕らのような若い世代の大学院卒が増えていると感じます。学生の大学院進学率が上昇している中で、外部進学(他大学の大学院に進学)という選択を考えている学生も増えてきているのではないでしょうか。
当時、僕が外部進学を考えていた時、外部進学のための有益な情報は未だインターネット上に乏しく、どうすればいいのか困った思い出があります。そこで、外部の大学院に進学し、大学院在学中には外部からの研究室訪問対応を担当していた僕の経験を基に、外部進学に必要な基本的な情報をまとめました。
本記事では、大学院進学にあたって、進学先を決めるまでの基本的な流れや考えるべきポイントについて伝えたいと思います。その他、研究室訪問にきた学生からのよくある質問や、学生への注意点についても最後にまとめています。
勉強法や面接方法、その他思い出したことがあった場合に、どんどん追記していく予定です。お気軽にコメントくださーい(^^)/
そもそも僕が大学院進学を決めた理由
大きく二つあります。
一つ目は、単純に勉強が好きだったからです。学部の研究室配属後、専門性の高い研究が始まり、やりたいこと(勉強したいこと)が出てきたからです。数学・物理などの基礎科目と違い、勉強って楽しいなーと感じていました。
二つ目は、エンジニアになるために大学院卒が必要不可欠だったからです。中堅・大手企業でエンジニアとして就職する場合、僕の専門分野では修士卒が必要条件だったのです。今となっては、中小・大手などに絞らずに幅広く就職活動をすべきだったと思いますが、当時の僕の就職活動は大手一択。スケールの大きい仕事にエンジニアとして取り組みたいという気持ちが強かったです(今だから分かりますが、大手でなくてもスケールの大きい仕事はできますよ!中小企業の方が仕事の自由度も高い気がします……)。
そういったこともあり、私は大学院進学を決意しました。
外部進学か内部進学か
大学院進学を決めたら、まず考える問題です。僕は外部進学に決めました。
一つアドバイスさせて欲しいことがあります。外部進学を一切考えずに内部進学を決めることは辞めましょう。例ですが、就職活動を想像してみてください。あなたが企業を受ける時、1社だけを見ますか?しませんよね?色々な企業をみて、自分のやりたいことを再確認し、志望企業を決めるはずです。
「うちの先生は本当にすごくて、研究の第一人者で…」
こういう発言をする人、結構多いです。僕も一時期、このようなことを言っていました。
まず言いたいのは、教授なんて大体すごいんですよ。学会発表をやったことがない、論文を書いたことが無い、論文を読んでないような学部生が、自分の先生の本当のすごさを理解するのは難しいはずです。先輩たちが先生のことをすごいすごいと言っていて、先生の経歴もすごいために、うちの先生、まぢ神!って思ってしまうんですよね。
ひとまず、そんなことは忘れて、外を見てみましょう。神だと思っていた先生よりも、もっとすごい神がウジャウジャいますよ。自分の先生を神格化する前に、周りをもっとみてほしいです。また、色々な研究室を見て回ると、自分はもっとこういうことがやりたい!と新しい発見がありますよ!周りを沢山みてから、やっぱり内部進学しようと決めるのであれば、僕も応援します。その方が、大学院に進んでから、自分のやることに誇りが持てますからね☆
さっそく研究室を訪問しよう
自分のやりたいことを再確認・発見するために、興味をもった研究室を訪問しましょう。研究室は各大学のホームページから調べることができます。
1.まずはメール
大学あるいは研究室のホームページに連絡用メールアドレスが書いてありますので、研究室を訪問したい旨をメールで連絡しましょう。個人対応してくれる、ゼミに呼ばれる、あるいは大学主催の大学院説明会に呼ばれる等の対応があるはずです。ここで、断られる場合もありますが、決して悪い方向に考えないでください。研究室の先生方は本当に多忙な方々です。その時はスケジュールの都合が決められず、しかたなしに断っているのです。決して、外部生だから不適切な対応をしているわけではありませんよ!
2.先生に会いに行こう
アポが取れたら、先生に会いに行きましょう。当然ですが、先生に会う場合、そこの研究室がどのようなことをやっているか調べていきましょう。例えば、研究室のホームページに記載してある研究内容や修士論文・博士論文テーマなどを確認します。CiNiiで論文を検索して、論文を読んでみるなど(論文は第1章の導入部分だけ読めばOKです)すれば、どのようなことをやっているか軽くわかります。その他、自分がどのようなことに興味があるかを伝えられるようにしましょう。
「〇〇さんの研究テーマをやりたいのですが、出来ますか?」
先生・僕が対応した学生で、よくある質問の一つです。研究室のホームページに載っている、修士生あるいは博士生の研究テーマと同じものをやりたい!って言うパターンです。基本的に研究テーマというのは毎年異なります。長期間、継続して行われているものもあれば、2~3年の短期的なものも割とあります。
そのため、〇〇さんの研究テーマをやりたい!と言われても、「それはもう終わるんだよねぇ」となるケースが度々あります。〇〇さんのテーマがやりたい!と決め打ちしないで、こういったことに興味がある!こういったことがやりたいと思ってます!と言ってくれた方が対応しやすいです。僕の先生は、「来年はこういう研究テーマがあるよ~、こういうの良いんじゃない?」と話を広げていましたし。やりたいことがウチの研究室とマッチしていない学生が来た場合にも、
「きみのやりたいことはウチではやらないな~」
「ウチの大学だと〇〇先生とか△△先生の研究室だね」
「他大学だと☆☆先生の研究室を見てごらん」
とアドバイスをあげていました。このような有益な情報を得られるため、変に嘘をついて先生に合わせにいく必要はありません。怒られるわけではありませんから。
「過去問ください!」
「コアタイム(研究室に居なくてはいけない時間)ありますか?」
このような質問は先生向けではないのでやめましょう。もっと研究内容や研究室生活について聞くべきです。
ただし、試験情報については聞いといた方がいいかもしれません。僕の場合、先生と打ち解けることができ、
「英語は大事だからきちんと点をとること。」
「専門科目は基礎科目の点数よりもウェイトが大きい。」
などの有意義なアドバイスを教えて頂けましたよ。
2.研究室生と話す
先生との相談の後は、研究室生と話しましょう。先生よりも距離が近い研究室生は、先生からは聞けない情報について聞き出すことができます。仲良くなると、裏事情を沢山教えてくれますよ。ブラックな研究室だと、「本当にウチはやめた方がいいよ、家に帰れないし、就活させてくれないよ」と止めてくれます笑。
研究室訪問にきた学生からは、次の質問をよく聞かれました。
・過去問ほしい、勉強法について
・就職活動は出来るか、OBの就職先
・ブラック研究室か、家に帰れるか
・他の研究室の実態について
・指導体制
指導体制は聞くべき質問ですね!先生が助教に学生の指導を任せていて、ほぼノータッチという研究室が結構存在します。そういう研究室は卒業間近のゼミが荒れます。
先生「助教に任せていたはずなのに、なんだこの研究成果は!これじゃ卒業できないよ!」
と卒業間近で騒ぎになるようです笑。
お互い学生同士ですし、聞きたいことは何でも聞いちゃいましょう。僕が研究室訪問をした時は、過去問20年分を貰えた上、仲良くなってそのまま研究室の飲み会に参加させてもらいました。
3.研究室を決める
いくつか研究室訪問をした後は自分がどのようなことをやりたいのか、じっくり考えてみましょう。参考までに僕が研究室を決めた理由です。
・先生がしっかりと指導してくれる(研究室の人数も少ない)
・先生の人柄(僕のプライベートを最優先してくれるし、話しやすく面白い)
・実験から解析まで何でもできる(楽しそう、経験値めっちゃ積めそう)
・先生の取り組んでいる研究テーマ(夢と希望がもてました)
・実験を行うための環境・設備が充実している(うちの大学より凄い)
こんなところでしょうか。もうぞっこんでした。ただし、僕が志望した研究室は大学院の中でもトップを争うほどの人気研究室だったんですよ。僕が受験した年は倍率30倍を超えていたようです。受かってよかった~…笑
進学したい研究室を決めたら、受験する旨をメールで連絡しましょう。今年、何人自分の研究室を受験するか、先生方は割と気にしています笑
4.勉強、勉強、勉強だーーーーー!!
そのまんまです。勉強しましょう。休んでる暇なんて無いですよ!
5.はい、合格
おめでとう!頑張りましたね!受かった後は、先生に「来年度からよろしくね☆」メールを送りましょう。また、入学前に一度、挨拶に行った方がいいです。
よくある質問や学生へのアドバイス
■お金が無いという方へ
「うち、お金がないから…大学/大学院行きたいけど諦めたわ」
大学受験からよく耳にする言葉ですね。
奨学金を借りましょう!保証人が居なくとも、機関保証(保証人の代わりを務めてくれる機関)がありますよ!少々返済額が高くなりますが。入学時は学費+入学金が必要で、結構な額を用意する必要がありますが、そのような方のために、入学時にドンと30万円とかも借りることが出来ます。また、実家が本当に家計に苦しんでいる場合は、入学金免除や学費免除のようなシステムを大学は結構もっていますので活用しましょう。
僕は学費と生活費を払うため、第1種(利子なし)と第2種(利子あり)奨学金を併用して、毎月24万円くらい借りていました(こんなに借りまくっている人は普通いません笑)。つまり、それだけの借金を背負ってでも大学院に行きたいという強い覚悟があれば、今現在お金が無くとも大学院進学は可能ということです。
以前、「奨学金返済に苦しむ社会人」といったニュースが取り上げられ、奨学金システムに対して悪い意見が挙げられていましたが、僕は奨学金というシステムは最高だと思っています。学も能力も資金も無かったこのような僕に、2年間で500万円以上も貸してくれたんですよ。おかげで僕は大学院に進学することができ、夢だったエンジニアになれたので、奨学金は最高だと思っています。
■研究室訪問はスーツ?
研究室によるかもしれませんが、服装は私服でいいと思います。たまにスーツで研究室訪問にくる学生がいますが、大体私服だと思います。不安な方は調べてから行きましょう。
■ 内部生は院試が有利?!!
よく噂されることですね。研究室配属後、飲み会の時に先生に同じことを聞いてみたことがあります。
「試験後は院試の点数ランキング表が先生方に渡されてね」
「ウチを受ける生徒が何点か分かる、他の先生にもね」
「合格者を決める会議を開いて、上から順番に取っていくからね、不正はできないよ」
「博士行きたいから有利とか、就職したいから不利とかは無いよ」
「残念ながら点数順」
「研究室訪問で高級な和菓子の差し入れ買ってくる学生いるけど、意味ないからね笑」
点数は低いけど、お気に入りだから取ってやろうとか出来ないんでしょうね。うちの大学院だけかもしれませんが。
■外部に行くと就活は不利?有利?
「外部にいったところで就活良くないよ」
「大学ブランドはでかいよ」
有名国立大学では、就活で有利な場面が存在するのは確かです。僕の実体験でいうと、
・説明会予約時の学歴フィルターに引っかからない
・会社見学時、僕1人に対し社員3人で対応してくれた(周りは集団で見学)
・二次面接のテスト内容をこっそり教えてくれた
・研究室のOBからバンバン連絡が来る(ウチ来ない?って)
・会社説明会後、OBが飲み会に誘ってくれた
飲み会後は会社の車でキャバクラへ。帰りはタクシーチケットをくれた(バブルか?笑)
・会社役員の方と高級焼肉屋でお食事(囲い込み的な?)
挙げるとキリが無いですね。
有利な面も確かにありますが、落ちる人は落ちます。大学院の同期で、全然就活が決まらない人もいましたからね。結局は内部進学・外部進学に関係なく、その人自身に依るんですよね、能力とか人柄とか。
■面接では第一志望です!
「他にどっか受けた?どこ志望なの」
大学院試験の面接で絶対聞かれます質問です。しかし、ここで嘘をつくのは絶対にやめましょう。国立の場合、一つの研究室の枠が3、4人なんて場合もあります。あなたが第一志望だと嘘をついて合格を貰い、蹴るなんてことをしたら、その年の入学者はたった2、3人になっていまうんです。先生にも、落ちた他の学生にも、めちゃくちゃ迷惑ですよね。
万が一嘘をついて、先生を怒らせたとしましょう。 研究の世界はとても狭いもので、学会に行けば、その先生と顔を合わせる可能性が非常に高いです。先生同士、知り合いの可能性も十分にあります。
受験先が第一志望では無い場合は、「△△大学の〇〇研究室が第一志望で、落ちたらこっちに進学します」など、正直に答えましょう。他が第一志望といったら落とされるんじゃないかと思っている方もいるかもしれません。あなたの成績・テスト結果が合格圏内であれば、「他大学の△△研究室が第一志望で、、」と言っても、「では、落ちたら連絡ください」や、「何日までに決めてください。それまでは待てます」など、きちんとした対応がありますよ。
■学歴ロンダリングでしょ?ぷぷっ笑
こんな人いますよね。ロンダリングとは、自分の大学の学歴レベルよりも高い他大学に進学することです。最終学歴が更新されるため、大学院から東大に進んだ場合でも、俺、東大生!って名乗れちゃうところに引っ掛かりを感じるひとがいるのでしょう。
やりたいことがあって、大学名ではなく、きちんと研究室で選んだ方であれば、学歴ロンダと馬鹿にされなくていいと思います。万が一、そういうウザい奴が現れたら「いぇーーーーい高学歴ゲットォォォォ」とか適当に対応しましょう。
学歴ロンダ組が大変なことと言えば……。就職後、大学別の懇親会とかあるんですが、院から通っているので、OB・OGの懐かしの先生トークやキャンパスライフに入れないんですよね。それがちょっと気まずいくらいでしょうか笑
最後に
僕は外部進学で本当に良かったと思っています。なぜなら、自分のやりたいことを確認した上で進路を決めることができたからです。大学院では、
・様々な実験ができた
・実験だけでなく、解析もバッチリ
・先生の手厚い指導
・国の方々や企業の方々とも交流できた
・海外での短期留学経験
・自分の実験を通じて、マネジメント経験(外注さんとの調整や実験物品の調達など)
・エンジニアとして必要な基礎知識の習得
など、本当に大事な経験値を積むことができました。つまり、大学院進学→エンジニアの流れをきちんと考えたおかげで、最高な研究室に入れ、最高な経験値を積み、最高のエンジニアになれたわけです(現在は更なる高みを目指し、日々奮闘中…)。
そのお陰もあり、入社後は上司から、
「ふるちん君、本当に新入社員かよ」
「知識は十分あるから、後は経験値だね」
「他部署への異動願い出されても、断るから!」←え?
と沢山褒めて頂いております。最高ですね!人事評価は最低ですけど笑
最後になりますが、大学院進学を考えているあなたへ。
大学のブランドで決めるのではなく、先生の功績で決めるのではなく、本当に自分のやりたいことが実現できるのか、成長できるのかを考えて研究室を選び、新しい世界に飛び込んでってください。そうすれば、もっと楽しい世界が待っていますよ!頑張ってください!